ステラ・マリス

藩国会議

「問題はね」
ぱん、と手を叩いて注目を集める。
視線が四対、藩王にざくざく突き刺さった。
が、そこに写るのはにこにことあらゆる意味で崩れない笑顔。
何を考えているかは口にされなければわからない。

「宇宙進出に際してスター●ォーズネタを組み込みたいのよ」

「ちょ、そこですか」つっこむ美弥。
「「…………………………」」黙る男性陣。また遠い目。
「何ですかスター●ォーズって」きょとんとしているマユミ。
「映画」朝霧は端的に答えてみた。「緑色のおじいちゃんが縦横無尽に駆け巡る」
「違うでしょ」また美弥によるつっこみ。
「実はうろ覚え」朝霧は目をそらした。
「見ろ」藩王の理不尽な命令。「今度オフで上映会するか」
「うちの国はどちらかというとマ●ロスですよねえ」少しずれてる神室。「歌姫もいるし」

じっ、と全員の視線がマユミに向かう。
はい? と首を傾げるマユミ。

「私の歌を聴けー!」
どこからかマイクを取り出す藩王(本当にどこから取り出した?)。
奪い取る美弥。神室にパス。え私ですかときょろきょろ見回す神室。
俺に渡すなよと言わんばかりに朝霧は距離をとった。

そして、今。
国を駆け回って遙かFEGから発注したSWのブルーレイを再生中。
薄暗いマユミの執務室では、倉庫から借りてきた予備のホログラフ・プロジェクターが起動中。
雪原を歩く足の細いロボットのまわりでぴゅんぴゅん音がしていた。
藩王がちょくちょくと解説を入れてくれる。

上映会を進めながら話を続ける事になった。
「エピソード4の 25000年前から共和国が」
「いやそれはいいから」
ちなみに、この上映会では結局全EPを見る事になる。

さて気を取り直して、
「宇宙進出のための産業育成ですね」マユミが言った。
「そうね。ちなみにこれをそのまま参考にすると爆発するのでやめましょう。
 あ、ジャガイモとスニーカーは見つかった?」
「知らんがな」朝霧が言う。
「あ、私見つけました」マユミはにこっと笑った。
「………… 宇宙怪獣の件で都市船の増産や離水改造も行うんですよね」スルー。
「混ぜちゃだめよ。産業育成は宇宙進出するために必要な技術の開発。
 宇宙怪獣対策は宇宙怪獣対策。
 じゃ、離水改造は?」
「宇宙進出のためですね。宇宙環境に対応するための技術開発の一つ」
「イエス」
「で、宇宙進出のためのというと……」神室が聞いた。
「枝で言うなら、都市船の離水改造と藩国船の建造ですよね」
「そうね」頷くルウシィ。
「それを補強する事を産業育成で行う。
 例えば装甲の宇宙線対策、船体構造の最適化、推進機構の開発、
 水や空気は外部の取り入れができなくなるのでリサイクル技術の推進、
 その他純粋に技術のスケールアップ」
「スケールアップ」鸚鵡返し状態朝霧。
「新型藩国船をマスターシップ、都市船をスレーブシップとして純粋にスケールアップする」
「でかっ」
「あとは宇宙ならではの観光の作成」
「何故」
「この上なく派手っぽいから」

「「「「あー…………」」」」

「キック」
朝霧が倒れる。神室が飛んだ。

「というか、いいじゃない。360度回れる水族館とか無重力公園とか」
「すでにして 360度まわれるような」潜水艦出せばぐるぐるぐるりですぜとジェスチャー。
「まあそんな感じで適当に」流された。

「じゃ、離水改造と新型藩国船で宇宙コロニー計画でひゃっほい。ということで始め」
「「「「はーい」」」」

「あ、産業イベントの収入は全部政策というか国民に回すので。収入があると思うな」
何を今更。
ということで以下、上層部が蹴りとだめ出しにさらされながら作成して
結局たくさん手直しされたひゃっほいについて説明する。


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