閑話小話

サマーキャンプ

リゾートの一角で子供向けのサマーキャンプが開かれている。
サマーキャンプと言っても、年中真夏日よりの紅葉国では
本当の意味でのサマーというのはというのは存在しない。
逆を言えば、いつでも開けるイベントという事でもある。

参加者は毎回20人~30人程度、小学生高学年から高校生くらいまでである。
月に一度のペースで開かれるキャンプにはさまざまな藩国の子供達が集まる。
今 まで顔すらあわせたことのない藩国の人と会うことも少なくない。
そのためか、初日、銀杏島のイベントホールに体からはみ出るくらい大きなリュックを背負っ て
やってきた子供達には、緊張の色が濃い。
ここでキャンプの引率をしているのは、ゲリラを中心とした退役軍人である。
彼らはキャンプ前に研 修を受け、資格を受けた後で
グループのリーダとして子供達の面倒を見ることになる。
もう一人、万一に備えて名医が医者兼カウンセラとして、研修後に子供達の面倒を見ることになっている。

サマーキャンプはおよそ十日程度の期間の物で、最初の三日間は銀杏島を中心として、
コテー ジでのリクリエーションが行われる。
室内遊戯に始まり、近海を泳いだりした後は、テントを建てて近くで野外炊事を行い、
星空観察をして一日を終える。そう して三日が過ぎる頃には、もうすっかりこの国の暑さになれている。
四日目になると場所は自然島に移る。
ここで彼らは、四日間生活を送ることになる。
食料やテント用具は銀杏島からおくられてくるが、
それ以外は完全に自分たちでどうにかしなければならない。
ちなみに、最初の三日間に問題を起こした子供は行けない場合もある。

彼らは初日、重たい荷物を持って半日ほど歩く。
そこは学者達が使う調査用のルートであり、一般に解放されている散策路に比べると少し険しい。
だが、人気の 遠さが、より子供達に自然を感じさせる要員の一つとなる。
道の途中には珍しい草木がそこかしこに密生し、時折、蛇やむささびといった動物が横切っていく。
そうしてたどり着いた先には、多少開けただけの土地がある。
自然島
別段手を加えられたわけではないので、仮設用トイレの他にはこれと言った施設はない。
そこに子供達はテントを建て、食事を取ると、大抵の子達は疲れ切ってテントの中で眠りこけてしまう。
翌日、五日目には疲れをとった子供達を率いて島の中を散策することになる。
川沿いの比較的安全なルートを見て回り、源流を探したり、
小さな山を登って崖か ら伸びる虹を見てくれば、もう一日は終わりである。
子供達は、夜になってから空を見上げ、引率のゲリラや名医から星の話や昔話を聞い ていく。

六日目には彼らはそこを引き払うことになる。
テント用具を片付けた後は、午前中一杯を使って昨日歩いた道のゴミ拾いをする。
季節 によっては下草刈りを行う事もあり、さまざまな形で自然環境の保全を手伝うことになる。
その後、テント用具を持って浜辺に集合し、そこでもう一度テントを たてた後、夜を過ごす。
七日目、彼らはテントを片付けた後、夕方までの時間を海で過ごす。
迎えに着た船に乗って海に出た後、そこでスキューバダイビングをしていくのである。
引率の案内で海中散策している間、泳げない子供達は、海上で釣りをしている。
彼らの釣った魚がその日の夕食になる。
八日目は休養日。コテージの周辺で遊ぶ者から、ひたすら疲れを癒す者までさまざまである。

そして九日目にはお別れのパーティを開く。
このときばかりはレストランが一つ貸し切りになり、海鮮料理やフルーツのデザートが振る舞われる。
そしてグループごとのちょっとしたゲーム大会が開かれて、その日は楽 しみのうちに終わる。
十日目。その日はコテージの大掃除と荷物の片付けを午前中かけて行った後、
初日に集まったイベントホールで帰りの時間を待つことになる。
もう子供達には、初日の緊張の色は無い。
健康的に日焼けした子供達は自然を充分に体験して、両親の迎え等を待って立ち去っていく。
十日間共に暮らした引率やカウンセラと別れた彼らは、
最後に、この日々の話をお土産として持ち帰っていくことになる。

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散策ツアー

散策ツアーというのは、自然島や海中の解放区画を中心とした、
普通の観光ルートよりももう少しサバイバルなハイキングツアーである。

服が張り付くほど汗が流れる。
強い日差しを浴びながら船は海を快走し、白い波頭が帯を引いていく。

船が向かう先には、濃い緑色の樹木に覆われた島が ある。
正面には陽光を反射して白く眩しい砂浜、
グリーンの中に時折見える炎のような赤い色はこの国のシンボルにもなっている紅葉だ。
遠く、島内の左手には のこぎり歯のような山が天を削るようにそびえている。
上陸
ここ、紅葉国リゾートでは自然島の一部が開放され、一般の観光客でも散策できるようになっている。
申し込みはサービスカウンタの予約コーナで行われている。
ツアーには必ず一名以上のインストラクタがついて、解説や道案内なども努めてくれる。
インストラクタはゲリラをはじめとした元軍人である。
最初、軍人と聞いた時には露骨に無愛想で態度の悪い人柄を想像したが、
実際には人当たりが良く、 すぐに打ち解けることが出来た。
彼らはこのためにリゾート観光用の教育を受けている、と話す。
「銃器の扱いを覚えるよりも大変だよ。何しろ全然わからない 草の名前を覚えなくちゃならないんだから」
と彼らは言った。

自然島に近くに船を寄せると、そこからはボートで浜辺に向かっていく。
眩しい浜辺に 脚を踏み込むと、途端、反射した陽光が下から体を焼き付けてくれる。
眩しさに目を閉じてしまいそうになりながら、インストラクタの案内を受けて森林の中に 入っていく。
森林の道は調えられた遊歩道ではない。
そのほとんどは自然のうちに枯れ葉が貯まり、草が左右によけていって作られた茶色い通り道だ。
場所に よっては段差も大きく、岩の上を両手を使って越えていくところもある。
太い木の根が絡み合って出来た階段を登ることもあった。

土の出ている道を歩いているうちに、やがて左右の草木に混じって赤や青の花が見えてくる。
そこからは道はいくつかに別れている。
川沿いにしばらく進んだ後、山を登っていき、崖を見下ろしてから浜辺に降りていく道を取った。
川は見つけてしばらくは浅く細い。
それを右手に見下ろしながら山道を歩いていくと、だんだんと水音が強くなっていく。
ふと気付けば、そこら中から突き出た岩の上を白い泡を作りながら流れている急流になっていた。
川沿いの道をそれて、山に入っていく。
徐々に急になっていく斜面を息を切らしながら登っていくと、やがて、見晴らしのいい崖に出た。
その先に 見えるのは、島の半分の景色だ。
緑と赤の森がうねりを作り、切れ目を作るように吹き出した白い滝や、
影から伸びる虹がいっぺんに視界に飛び込んできた。
「なかなかのものでしょう」とインストラクタは言う。
「今日は運がいい。虹がここまではっきり出る日はそんなに無い」
景色を見ながらしばらく休憩した後、山を下りて、再び森を通過して浜辺に戻っていく。
その頃には脚がくたくたで、帰りの船では脚を上げて夕暮れを見に行く体力は残っていないほどだった。

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建造秘話-るうしぃの野望-

「リゾートホテルの計画すべてやり直し」
「へ?」
いきなりの宣言に、政庁の面々は呆然とした。
というか、すでにあとは着手を開始するのみだったリゾートホテル計画を、なぜ今さら?
「ちょっとマユミと話しあってねー」
軽い発言の割には、紅葉国の現状とも合っているプランであったため、これまでの計画をすべて白紙撤回。
あらためて、紅葉国リゾート計画&雇用促進計画が開始されたのであった。

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【基本コンセプト】
集合コテージを集めたタイプの巨大ホテル。
自然いっぱい。
送迎バスの出番は、駅から船着き場まで。基本的には送迎船。

放射状にコテージが配置されており全部基本的には海に面しており、直接コテージに船を着けられる。
これを利用したデリバリサービスもある。

中心部にはドーム状の建築物があり、各種店舗施設、サービスカウンター等々がそろっている。
最も現金を落としていってくれると思われる西国に自然が少ないため、
自然を前面に押し出したリゾート地にする。
スキューバダイビング、ジャングル探索、カップルで虹を見に行くなどなど。

【医療】
全く環境の違う国のゲストを招くため、そこそこ高い頻度で体調を崩すと思われる。
かつリゾートに旅行に来て風邪で寝込んだらがっかりなため、
復活禁止で衝撃を受けているであろう、国内医師を大量雇用する。
危険なため、治癒師は高位南国人、藩国指定の病院勤務猫士以外は使用禁止とする。
その代わり通常の名医達はリゾート計画で雇用し職と収入を保証する。

【食料】
輸出入される食料対策の一環もかねて、
リゾートのレストランで現地の食材を使った郷土料理を中心に広報展開。
大量生産している食料に付加価値を与え、食料生産者の環境を改善する。
(普通に儲けを出そうと思ったら多分安い帝国の食材を使うので)

【治安】
リゾート化し、人が大量に流入することで様々なトラブルが起こることが予想される。
警察署や交番はそのまま活かし、かつ紅葉国の歩兵戦力は隠蔽絶対成功のゲリラであることも活かして
観光客を現実に引き戻してどん引きさせないよう、警備、治安維持を行う。

警察や軍関係者を中心に運営し、元警官や元軍人で困窮している人々にも職が回るようにする。
接客業初体験だと思われるので、接客業研修は受けてもらう。

【その他雇用】
ホテル全体、アンダーシー部分の管理など、雇用の大量発生がある。
ゲリラや医者としての技能がないものを優先的に、雇用研修を受けられるようにして
ホテルスタッフの育成を行っておく。

【自然保護】
定期的に内外の学術組織を受け入れての調査を行い、また清掃団体を作っての清掃を行っている。
島内には一部危険な地域もあるため、指定された地域以外への踏み込みは固く禁じられており、
観光の雰囲気を壊さないよう隠蔽されたゲリラ部隊が、入念な警戒を行っている。
他にも、大地の民に協力を要請、異常の早期発見や自然回復を早める手助けをお願いしている。

【展開】
飽きられたら困るので定期的に新しい企画を実行できる環境を用意する。
設定国民のその手のプロデューサを雇用して
環境ぶっ壊して本末転倒にならないように気をつけながらゲストが新しい体験ができるようにする。


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