開発への経緯

海底都市の開発への経緯

紅葉国という名前とは裏腹に、その国土の過半は鮮やかな青色に満たされています。
陸地は海上に転々と浮かぶ大小さまざまな島のみで、その島もほとんどは植物の緑や紅葉の赤で覆われています。
今ではそれが観光資源にもなるほどです。
豊かな自然が残され、野生動物の宝庫となった陸地。
これに到る経緯には、紅葉国の居住空間を語る必要があるでしょう。

地上の島の様子
現在において、紅葉国の居住施設はそのほとんどが海底ドームの都市にあります。
もちろん地上にも集落や街がありますが、主な居住空間は海底ドームとなっています。
これら海底ドームが建造され、海底都市に人が住むようになったのは環境保護のためでした。
かつて地上を主な生活空間としていた頃、紅葉国では環境破壊が懸念されていました。
その議論の結果、住民の海底への移住が行われることだったのです。

現在を見れば、その目論見がうまくいったことがよくわかります。
紅葉国には共和国でも有数の自然環境が残されました。
海底の様子

海底都市の現状-首都メープル-

共和国環状線でメープル駅に到着して最初に目に飛び込んでくるのは、大通り沿いの椰子の木と紅葉です。
他国の人には不思議な光景かもしれませんが、紅葉国民にとってはとても普通で落ち着く景色です。
この大通り沿いに限らず、紅葉はドーム都市のそこかしこに植えてあります。
藩国名の由来でもある紅葉は、国樹として大切にされているのです。

メープル駅前
大通りの正面には大神殿と市民病院が存在します。
国内や他国での緊急時には、環状線を利用してすぐに患者を市民病院に運び込むことができるのです。
市民病院では、配置された猫士たちも含めて、多くのスタッフが忙しく働いています。
病院内のこともさることながら、国内各地の医師達との情報交換や相談、また国外との医療連絡もここで行われるからです。

それでは街に出てみましょう。
明るさは、海底とはいえ十分なものがあります。
地上の明るさに合わせて、朝はだんだんと明るくなり、夜が近づくにつれて暗くなっていきます。
気候も、地上に合わせた熱帯のものです。
これらの変化は、潜水艇にて地上と行き来する際に環境の違いで体調を崩すことがないようにとの配慮から行われています。
またドームの天井は、ドームの閉鎖感をださないようにするためスクリーンで空が投影されています。
こういった工夫のために、海底ドームに暮らす人々はさほど地上との違和感を感じてはいません。
ただし、大地の民は別です。
大地の民たちは、ドームに暮らすことを嫌うことはありませんが、しばしば地上に行きたがります。
彼らは『ドームだと声がちょっと弱いから』と言い、大地の声を聞き取りやすい場所を好むのです。

移動するときの交通機関は、メープルでは主に地下鉄となります。
地下鉄があるのは首都メープルだけで、他のドームにはない独特の交通手段です。
ドームという環境のため、排気ガスを出す乗り物は禁止されています。
そのため、道路を走る車はすべて電気自動車なのです。
ドーム内は平坦な地形であるため、さほど遠くない場所への移動には自転車も使われています。
平地のとぼしい地上部に住む人にはなじみのない、これもドームならではの風景でしょうか。

ドーム内は、規則正しく碁盤の目のように区画が仕切られています。
これは、各ブロック毎に隔壁が存在するためです。
ドームの一部が破損した場合、火災、また暴動時などには、この隔壁を操作することによって、被害を最低限のものに抑える努力がなされるのです。
非常時に備えたドーム内避難、また地上部への避難訓練は、定期的に行われています。


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