夜の庭

夕食後、ちょっと涼みたくって2人で庭に出てみた。
「雷球を使う感覚って、どんなものなんですか?」
「どうした?」
それまでは、今日はどうしてたなんて話をしてたんだけど。
「うーん、ちょっと」
今日は病院の方に行っていたから、治療のときに、つい考えてしまってた。
「治癒師の光とは、ぜんぜん別のものだから」
治癒の光は優しい暖かさをいつも感じるのだけれど
何度か見た雷球の光は、ずっと鋭いものだった。
「まるっきり別物だな。
お前のは癒すため、雷球は敵を倒すため」
だからかな、逆に知りたいと思ってしまった。

「それで、最初の質問は?」
「さて…わからないな。
使えるようになって長いから、意識しなくなっている」
そういうものなのかな。
ああ、でも。
治癒の光もあえて考えることしなくなってるから、同じかもしれない。
「いつも一緒なんですね」
「ああ、随分と昔からの相棒だ」
むー、なんかくやしい。
「高校生の頃でしたっけ?」
「……なぜ、知っている?」
まさか、リプレイ読みましたなんて言えない。
「秘密です」
ここは笑ってごまかすしかないかな。

ふたり 「そんなに長く一緒にいるなんて。ちょっと、妬けちゃいます」
「……よくわからん」
困ってる表情。
「そういうものなんです」
微笑んで、私は答える。
「だって、いつもあなたのそばにいられるんだもの」
「式神だからな」
それはそうなんだけど。
「私よりずっと昔から、ずーっとそばにいられるなんて」
結局は、そこなのかもしれない。
私が知らない玄ノ丈さんを、たくさん見てきて。
今までの戦いで、常に玄ノ丈さんを助けることができて。

「そばにいたいのなら」
手招きに従って、そばに行く。
そのままぎゅーっと抱きしめて。
「雷球にはこういうことしないがな」
「したらほんとに怒りますよ」
三日月の綺麗な星空の下、くすくすと笑いながら、2人囁きあっていた。

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