ゴール

そして意気揚々とやってきて、ウィルソンはその建物の扉を開いた。

ぐるりと見回せば、右手の卓にあのときの見た姿がある。
その中の一人がカードを置いて、こちらを見た。
「お、あのときパンツ一丁で放り出されたにいちゃんじゃねぇか。
なんだ、またほっぽり出されにきたのか?」
「ふっ。今度の俺は前とはひと味違うぞ?特に持ち金が」
「ほー。今度はちゃんと金があるのか。なら座れ。
今度はこいつ等がすっかんぴんでよ、退屈してたんだ」
にやりと笑う男に、ウィルソンは不敵に笑い返した。

(振り出しに戻る)
ポーカーの図
今日こそは勝…つ……?

おまけ

思えば、私は若かった――――。

「性懲りもなくまたやってくるとは思わなかったわよ。まあ今度は服は死守したみたいだけど」
「いや、ほんっとすんません。食堂で時々勝てたからっていい気になりすぎました」
事務室にて、テーブルを挟んでパイプ椅子に座り向かい合った一組の男女。
男の名前はウィルソン、女の名前はササキと言う。

それは、すっかんぴんで放り込まれたある青年が立派に立ち直るまでの物語

ではなく、

「あんた莫迦でしょう」
「反論の余地もございません」
「ここまで立派なすっかんぴんは見たことが無いわ」

――それは、すっかんぴんで放り込まれたある青年が、『立派なすっかんぴん』になるまでの物語であった。

編注1:10人に1人くらいはこういうやつがいるらしい。残る九人はまともです。
作注1:この二人は二ヶ月後に結婚することになる。(なお、作中の名前は偽名である)
作注2:そしてこの作品を発表、「めーぷるシーランド就労記」として正式にパンフおまけの冊子として一日数部限定で配布されることになる。
編注2:莫迦ねぇ
作注3:儲けはギャンブルに消えているそうです
編注3:どーりで口座残高が増えてないわけよ!

ファームの設定的要点

施設設定
・将来的に開発が研究されている船舶属性都市船のテストヘッド
・造船所でパーツごとに作成、洋上で接合された円筒状船舶
・基本はただのブロックからなる
・後で中身(施設とか)を詰める
・自力で潜行する
・が、充分な出力のあるエンジンができなかったので、中身を詰めると動かない
・あだ名は沈没船
・現在では海底ドームとほぼ同等の扱い
・しかしパーツ自体はモジュール化が進んでいるので、今後充分なエンジンが開発されれば動かせるようになる見込みがある

ファーム内施設
・上層は牧場とプランテーションによる自然地域。ドームの外周上をぐるりとモノレールが走っており、各区画に売店や休憩所がある。
・中層は上層で採取した生物資源の加工工場。主に日用品を生産している。体験コーナーあり。
・下層は潜水艦のランチ発着場。

ファーム外施設
・潜水艦に乗ってホエールウォッチングなどの海棲ほ乳類の観察ができる
・環境調査の意味合いも含めて一部の鯨、イルカ等にタグ付けを行っている

生産施設的設定
・ファームで得られた生物資源は加工して日用品として生産される
・これらの日用品は市場で価格割れしない程度に流されており、紅葉国では日用品はかなり安く手に入るようになっている
・ここで得られた資金面の収益は、全てこの施設維持や従業員への給与、及び生活費用に充てられている。足りない分はさらに政府から配分される。

国内情勢的設定
・ギャンブルで身を滅ぼした人などを始め、国内での生活が苦しい市民全体を対象に仕事を斡旋している
・就労者は男性女性とわず。唯一のルールは素寒貧であること
・従業員は生活保護がされる
・仕事に対しては給与が振り込まれる
・身受け分に加えて日常生活が遅れる程度の資金(三ヶ月分)が得られた後は、正式にスタッフとして就労するか、外部で職を求めるか選べる
・また素寒貧になっても戻ってきて仕事ができる
・最終的には正規の従業員が七割になる事を目指す
・環境調査の結果は政府にあげられ、国の環境政策に影響を与える


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